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鼻水・鼻詰まりに漢方の力を~小児に優しい治療の選択肢~

先週の寒波から風邪の患者さんが急増しています。特に多いのが、「鼻が詰まって夜が寝苦しい!」と訴える患者さんです。

お子さまが鼻をズーズーさせて苦しそうにしている姿を見るのは、親御さんにとっても辛いものです。「早く薬で止めてあげたい」と思うのは自然な親心ですが、実は乳幼児の鼻炎治療には、知っておいていただきたい大切なポイントがあります。

今回は、特に2歳以下のお子さまの治療指針と、体に優しくアプローチできる漢方薬の有用性についてお話しします。

1. 「鼻水」は体が戦っている証拠です

風邪をひいた時に出る鼻水は、体の中に侵入したウイルスや細菌を外へ追い出そうとする正常な生体防御反応です。

無理に薬で鼻水をピタッと止めてしまうことで、かえってウイルスが体内に留まってしまったり、鼻水が粘り気を帯びて出しにくくなったりすることもあります。そのため、「鼻水は無理に止める必要はない」というのが、現代の小児科治療の基本的な考え方です。当院でも同じ考え方で治療を行っています。

2. 2歳以下に抗ヒスタミン薬は「非推奨」?

これまで鼻水の薬としてよく処方されていた「抗ヒスタミン薬」ですが、最近のガイドラインでは、2歳未満の乳幼児への使用は慎重に、基本的には推奨されない方向となっています。

理由その1: 小さなお子さまでは、期待するほどの効果が得られないことが多い。
理由その2: 眠気やふらつき、ひどい場合には熱性けいれんを誘発するリスクがある。

「じゃあ、この苦しそうな鼻づまりはどうすればいいの?」という時に、選択肢となるのが漢方薬です。

3. 鼻づまり(鼻閉)に漢方が効く理由

漢方治療の最大の特徴は、単に症状を抑えるだけでなく、「血行を良くして腫れを引かせる」「水分代謝を整える」といったアプローチで、鼻の通りをスムーズにすることです。

スキー場などの寒い所に行った方は、鼻水が風邪でもないのに出ることを経験されたことがあると思います。逆に温泉に使って温まっているときには鼻水は止まりますよね。人体は鼻腔を温めることで血流がよくなると、鼻閉が改善される傾向にあります。(アレルギーは別です)

日本小児東洋医学会でも、鼻症状に対する漢方の有効性は高く評価されています。特によく使われる漢方薬をいくつかご紹介します。

鼻づまりに有効な主な漢方薬

葛根湯、麻黄湯、葛根湯加川芎辛夷

(かっこんとうかせんきゅうしんい) :鼻づまりの代表選手。鼻粘膜の腫れを鎮め、鼻の通りをパッと良くしてくれます。

ただし苦いです。そのため当院では比較的飲みやすい葛根湯や麻黄湯を処方することが多いです。
|辛夷清肺湯(しんいせいはいとう) :鼻の中に熱がこもって、黄色い粘り気のある鼻水や鼻づまりがある時に有効です。
|小青龍湯(しょうせいりゅうとう) :サラサラした水のような鼻水が止まらないタイプに。アレルギー性鼻炎にもよく使われます。

しっかり飲まれている方は、2~3日後にご受診いただいたときに喉の状態や鼻閉の状態がかなり改善されている印象です。

漢方薬は「苦くて飲めないのでは?」と心配される方も多いですが、最近はお湯に溶いて少量のココアやジャムに混ぜるなど、お子さまが飲みやすくする工夫もたくさんあります。大事なことは「え?漢方?あの苦いやつでしょ?」と保護者の方が最初に拒否反応を示さないことです。親が拒否するものは子供も当然のごとく拒否します。そうなるともう駄目です。お薬選択の余地が狭まってしまいます。西洋薬だって安全性のため、わざと味をあまり美味しくしていないものもあります。良薬口に苦しです。

4. まとめ

お子さまの鼻炎・鼻づまり治療は、「無理に止めないこと」「安全に症状を和らげること」のバランスが大切です。

2歳以下のお子さまで、抗ヒスタミン薬を使いたくないけれど、鼻づまりで夜も眠れず可哀想……という時は、ぜひ一度漢方治療を検討してみてください。