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マイコプラズマ感染症について

昨年からずっとマイコプラズマ感染症が流行しています。とくに10月から寒くなってきたためか、当院ではマイコプラズマの患者さんの数が増えてきました。

昔はオリンピックの年に流行すると言われていましたが、2019年のコロナ禍以降、数年間流行がほとんどなかったことで、免疫を持つ人が減少したためではないかと言われています。

大切なことは、ただの風邪のような症状から、咳がひどくなり、熱が上下しながらも続くようであれば受診していただくことです。また前1ヶ月間を含めた周囲の流行状況を確認することです。(たとえば兄弟が感染した、クラスで流行している、など)

1.マイコプラズマ肺炎ってどんな病気?

感染経路と潜伏期間(感染拡大を防ぐ知識)

  • 感染経路は?
    • 飛沫感染(感染者の咳やくしゃみで飛び散ったしぶきを吸い込むこと)や、接触感染(飛沫が付着したドアノブなどに触れた手で、自分の目や鼻を触ること)で感染します。
  • 潜伏期間は長い!
    • 他の風邪やインフルエンザと違い、2~3週間と非常に長いのが特徴です。そのため、感染源が特定しにくいことがあります。

症状の特徴:風邪との決定的な違い

症状項目 マイコプラズマ肺炎の特徴 風邪・インフルエンザとの比較
発熱 38℃以上の発熱が4~5日程度続くことが多い。夜間に上がり、昼は体温が下がる傾向にある。 急激な高熱で始まることが多い。
**解熱後も続く強くて頑固な咳が最大の特徴。乾いた咳から湿性の咳になることも。

夜間にひどくなる傾向があります。

一般的に数日で落ち着く。
全身症状 頭痛、倦怠感など。肺炎の割に比較的元気で、「歩き回れる肺炎」と呼ばれることもあります。 インフルエンザは関節痛・筋肉痛が強い。

ぐったりしていることが多い。

喉の痛み 比較的軽度。 強いことが多い。

2.診断方法

  • 咳と症状: まずは長引く咳などの症状から疑います。
  • 画像検査(エコー・X線): 肺炎の広がりを確認します。特に小さなお子さんには、放射線を使わない肺エコー(超音波)が役立ちます。
  • 当院ではマイコプラズマ気管支炎が疑われる患者さんに肺エコーを行い、診断と重症度判断に役立てています。
  • 重要な検査: 迅速検査、PCR検査や抗体検査などで、マイコプラズマの遺伝子や抗体を見つけて確定診断します。ただし、感染初期には陰性になることもあり診断が難しい場合もあります。

3.治療のギモン:効く薬と「耐性」の話

効く薬は普通の抗生物質と違う!

  • マイコプラズマに効くのは「マクロライド系抗菌薬」が第一選択です。一般的な細菌に効く薬は効きません。このため、診断がついたら処方された抗生剤をしっかり服用していただくことが大切です。

薬が効かない「耐性」が増えています

  • 第一選択薬のマクロライド系が効かない「耐性株」が増加しています。
  • 【重要】 薬を飲んで23日経っても熱が下がらない、または咳が悪化している場合は、耐性株の可能性があります。必ず再診して医師に伝えてください。

効かない場合の「次の手」(ビブラマイシンなど)

  • マクロライドが効かない場合、ビブラマイシン(ドキシサイクリン)などのテトラサイクリン系抗菌薬が有効です。✪ただし、8歳未満のお子さんには歯の変色リスクがあるため、慎重に使用されます。3~5日の短期間では問題がないとの知見もありますが、治療効果をみながら慎重に選択して処方を行っています。
  • ニューキノロン抗生剤も使用されることがあります。(最近の研究ではマイコプラズマにはあまり効果的でないようですので、当院ではほとんど処方しません)

4.患者さん・ご家族へのお願い

  • 薬は飲み切る: 症状が改善しても、医師から指示された期間は必ず薬を飲み切ってください。
  • 手洗い・うがい: 感染を広げないために、家庭内での基本的な感染対策を徹底しましょう。