診察室の中で。――少し待ち時間が長くなってしまった日の、大切なお願いとお礼
いつも当院を信頼して足を運んでいただき、本当にありがとうございます。
小児科の待合室というのは、いつも独特の緊張感に包まれています。
熱でぐったりしているお子さん、ぐずってしまう赤ちゃん、そして「早くお薬をもらって安心させてあげたい」とハラハラしながら順番を待つお母さんやお父さん。
私たちはいつも、できるだけお待たせしないよう、スタッフ一丸となってスピーディな診療を心がけています。
しかし、ときどき、どうしても診察室での時間が長くなってしまうことがあります。
実は先日も、そのような瞬間がありました。
見た目には「よくある風邪の症状」のように見えても、言葉を持たない小さな赤ちゃんの、ほんのわずかな「視線の合い方」や「いつもと違う元気のなさ」、そしてご家族がポロッとお話しされた一言から、命に関わるような重大なサインが隠れていることに気がつく瞬間があります。
そのときは、診察室の中の空気が一変します。
頭の中でこれまでの経験と知識を総動員し、検査を重ね、その場で高度な専門病院への緊急の手配を整えるまで、一分一秒を争う緊迫した時間が流れます。
その間、当然、待合室の時計の針は止まってくれません。
外で待っていらっしゃるご家族の「まだかな」「ずいぶん時間がかかっているな」という不安な視線が、ドアの向こうにあることは痛いほど分かっています。
それでも、そのとき目の前にいる小さなお子さんのために、全力を注がせていただきました。
結果として、そのお子さんは無事に次の専門の病院へとバトンを繋ぐことができ、いま一生懸命がんばっています。
あの日、診察室の裏側でそんなドラマが起きている間、ずっと静かに待合室で順番を待ってくださっていた皆さま。本当に、本当にありがとうございました。皆さまのご理解と温かい辛抱強さがあったからこそ、私たちは目の前の一つの大切な命を救い出すことができました。
小児科の医師として、これだけは皆さまにお約束させてください。
小児科専門医師には、皆さまのお子さんが同じように「何かおかしい」「重大なSOSを出しているかもしれない」という局面に立たされたとき、他のすべてを後回しにしてでも、全力で妥協せずにお子さんと向き合う使命があります。
だからこそ、ときに待ち時間が長くなってしまう日があることを、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
これからも、地域のすべてのお子さんたちの「砦」であれるよう、スタッフ一同、誠実にお一人おひとりと向き合っていきます。
皆さまの優しいご理解に、心からの感謝を申し上げます。




